
數多くの金管樂器を發明したチェルヴェニーによる、テノールホルンとカイゼルバリトン。いづれも、チェルヴェニー獨特の、ロータリーが縦に着いてゐる「Walzenmaschine(ワルツ機構)」によるヴァルヴシステム。ベルのフレアや、ベル部分の支柱からすると、比較的新しい時代のものではないかと思はれる。
カイゼルバリトンはチェルヴェニーの發明品の一つで、1882年にウィーンで特許が取得された。通常のバリトンと異なり、ヴァルヴが「1<2<3<4」と、段々に太くなって行く構造。ヴァルヴ部分は円錐に出來ないため、ヴァルヴごとにボアサイズを拡大させるといふ手間のかかる構造で、円錐に近づけようとしたものと思はれる。チェルヴェニーは、このシステムにより、バリトンの響きをより豊かにし、ソロ樂器として發展させやうとしてゐた。