フランスはパリの老舗、ケノン社のサクソルンバッセ。1934年のカタログに、同機種が見られ、これより古い20世紀初期のカタログには見られないため、1930年頃の製造かと思はれる。
ケノンの1900年以降のカタログによると、サクソルンバッセには、2番管がヴァルヴケーシングの上端でカーブし、コンパクトに巻かれた「découverts」といふタイプと、ユーフォニアムのやうに、2番管がヴァルヴケーシングを越えた上方でカーブし、ゆったりと巻かれた「encadrés」といふタイプとがある。
そして、A(encadrés)・B(découverts)・C(encadrés)の3モデルに、Monopole(découverts)といふ高級モデル、そして、Monopole-Concervatoire(découverts 又は encadrés)ランクのモデルがラインナップされてゐた。
現在のケノンや、同じくフランスの老舗コルトワのバッセは découverts タイプばかりなので、ユーフォニアムとの區別がつきやすいが、encadrés のモデルと、ユーフォニアムとの明確な違ひといふのは、私にも判らない。ドイツと違ひ、フランスではあまり名稱にこだはりがないのかも知れない。
第3ヴァルヴはユーフォニアムより半音低い(2音下がる)。第4ヴァルヴはユーフォニアムと同じ(2音半下がる)。第5ヴァルヴは、ユーフォニアムの第4ヴァルヴより全音低い(3音半下がる)。
調性はB♭。